トラペジウムを観た
トラペジウムは乃木坂46一期生の高山さん原作のアニメ映画。
元々推しの子が好きだったりしたので、アイドルの黒い感情の話を自分は面白いと感じる節はあった。
その上で映画館で流れる宣伝や、
「賛否両論」「狂ってる」「サイコパス」
などの口コミを観て映画館に足を運んだ。
感想としては観て良かったと思う。以下ネタバレありです。
主人公の狂気と綱渡のような感覚
観て貰えば全員に納得してもらえると思うが、主人公も映画の構成もかなり狂っている。
そもそも主人公のサイコパス加減に共感できない視聴者も多く居たんじゃないだろうか。自分も10年前とかであれば全く共感できていなかったと思う。
しかし最近は「何者かになりたい」という欲求が本当にわかるようになってきた。仕事のやりがいとか、そういうくだらないと考えていた物に対する実感が今更ながら湧いてきて、例えば「宇宙よりも遠い場所」とかそういう話にとても共感するようになった。
また、ライブイベントに足を運ぶようになったのもあり、演者から感動を接種することも増えた。
だからただ「はじめてアイドルを見たとき思ったの。人間って光るんだって。」しか語られない主人公のモチベーションも自分は共感できた。それを踏まえても狂っているけれども。
そんな主人公がなんだかんだアイドルの夢を手にすることになるが、なんだかんだの部分が脆すぎていつ崩壊するのかとヒヤヒヤが止まらなかった。その時間が結構長く、こんなに狂った雰囲気をずっと出せるものかと感心した。
しかし崩壊は予定調和。その後どうまとめるのか予想しながら見ていたが、まさか普通に仲直りして普通に青春ものっぽくまとめるとは思わなかった。普通の感覚で言ったら青春時代を騙されてぶち壊されているわけで、そうはならんやろという感じ。最後まで狂っている。
それらの狂気にはこだわりを感じたし、それを味わえただけで観る価値はあった。
結局アイドルも営業マンも個人開発で一山当てたい人も同じ
鑑賞後に余韻に浸っているときに考えていたが、結局アイドルに必要な要素はこういうことなのではないか。
青春ぶち壊されるほど騙されてもなんか許しちゃう
つまり詐欺られようが金を搾り取られようがなんか許しちゃう。というのがアイドル性の重要な点なんじゃないかということ。スーパーチャットで稼いでいるVチューバーも同じ類。
これはとても聞こえが悪い。しかしこれはビジネスの本質でもあるんじゃないか?というのがこの記事で言いたいこと。
全て完全に原価 (人件費は含む) と等価交換でサービスを提供されるのであれば富を得ることはできない。そこに何らかの付加価値があることによって、ユーザーはその原価以上の金額を支払い、提供者は富を得るのだとする。
その付加価値の最たる例がアイドル性ではないか?
「なんか輝いて見える」「なんか応援したい」
そんなふわっとした印象が大きな付加価値となり、詐欺的とも言えるレベルの献金を可能にするのかもしれない。
そうなると例えば個人開発で売り上げを出したい開発者もどうしたら良いかの示唆が得られるんじゃないか。
自身やサービスそのものにアイドル性を付与できれば良い。そうすれば原価以上に高い金額でもユーザーは支払うかもしれない。逆に、アイドル性が無いサービスでは儲からない。
そしてそれはビジネスでは「差別化」とか「ブランディング」とか呼ばれている。
なんか繋がってしまった。
まとめ
じゃあアイドル性って何なんだよって?自分は狂気だと思っている。
人生の貴重な時間を全て捧げて、人生が無価値になるリスクを追ってまで何かに熱中したときにのみ得られるなにかなんじゃないか。
一度きりの人生で失敗できないと思ってリスクヘッジに重点を置いている自分とは対照的で、だからこそ「トラペジウム」は面白く感じたのかもしれない